No.167 [you‘ll never walk alone]
2011年7月号



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 【ひねくれコラム】NO・167
〈you‘ll  never walk alone〉
▼今朝も雨が降っている。シトシトと…。毎年、寸分の
狂いもなくやって来る梅雨。この梅雨空の下、東北の被
災者の方々は空を見上げ、何を嘆いているのだろうか。
好むと好まざるとにかかわらず、梅雨が明けると夏の暑
さとの苦闘が待っている。
▼あるとき幼き姉弟が寒空の中、雨に打たれ、立ち竦
(すく)み泣いていた。『泣くんじゃない。お父さんと
お母さんは天国へ召されたんだ。君たちが泣くとお父さ
んとお母さんはそれ以上に悲しくなる。君たちの代わり
に天国へ行ったんだ。お父さんとお母さんは、君たちよ
り早く天国へ召されて悔いはない。もし、君たちがお父
さんやお母さんより早く逝ったら、お父さん、お母さん
は狂おしいほどの嘆きを負う。不条理を悲しむことにな
る』
▼胸が締め付けられるような、憂鬱(ゆううつ)な気分
に陥っているときだった。TVの画面に映し出されるこ
のフレーズ。【you‘ll never walk 
alone〔君たちは独りぽっちじゃない〕】。レクイ
エム〔彼らに安息を〕鎮魂歌にも似た、この曲を数十年
振りに聴いた。『嵐の中を進むなら、顔を上げて前を向
こう。暗闇を恐れるな。いずれ嵐は止み、光り輝く青空
がやってくる。けっして君たちは独りぽっちじゃない…』

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▼1945年のブロードウェイ・ミュージカル〔回転木
馬〕の劇中歌。サッカー「リバプールFC」サポーター
達の応援歌。日本では「FC東京」の応援歌でもある。
今では世界のサポーターズソングとして親しまれている。
▼また1945年、フランク・シナトラ、1960年代
はバッティ・ラベルとブルーベルス。もちろんエルヴィ
スもスタンダード曲として歌う。まさにこの曲は東北の
被災者の心情と重なる。
▼そう、君たち少年、少女がほほ笑まなくちゃ、笑わな
くちゃ、我々も悲しくなる。決して君たちは独りぽっち
じゃない。日本国民いや、世界の国民が案じている。
強くたくましく、そして優しく大きくなってほしい。日
本国の礎(いしずえ)となれ!
▼それにしても、今もって復興、復旧が遅々として進ま
ない。日本国という大きなキャンパスに絵を描くのは中
央政界、国会の役目のはず。それを一人の指導者の進路
を巡っての駆け引き、ドタバタ、腹の探り合いの無駄な
毎日。
▼clown〔ピエロ〕とfiddler〔ペテン師〕
の猿芝居。3カ月が過ぎて、ようやく復興基本法成立だ
なんて。『何やってんだい!おっさんたちー』。舌先三
寸の道化師がしゃしゃり出て歴史の歯車を狂わしてしま
った。ジャンヌ・ダルクはいないのかい?  
                    ―夢追人―

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―編集後記―
*『灯火統制』いわゆる灯火管制とは…市民の日常生活の
光〔電気〕を国家が管理統制することー。
*戦時中、タバコの火でも敵機の攻撃目標になるからと、
咎(とが)められた。昭和史の淡い想い出だ。小さな頃、
良くおかんに聞かされた。まさに今、時計の針が当時に戻
ったみたいだ。「節電、節電、節電」……と。
*今までが野放図に電力を消耗しすぎた。文明の繁栄を謳
歌するがごとく、煌々(こうこう)と輝いていた。昔のこ
とを語ると鬼に笑われるが、停電なんかしょっちゅうだっ
た。蝋燭(ろうそく)の光の中で卓袱台(ちゃぶだい)を
囲んで、一家5人が夕食を共にする、なんて現在、経験し
ようにもできない。
*むろん、ノスタルジー〔郷愁〕に浸っている場合じゃな
い。東北の被災者の方々を思い浮かべれば、節電すること
なんて容易いこと。不満はない。ただ一つ、「お年寄り」
「赤ん坊」「妊婦」「病人」は、その限りにあらず。
*今は昔と違う。土煙(つちけむり)と砂利道で生活して
はいない。つまり、団扇(うちわ)では熱中症という死と
の格闘になる。「涼」は必要だ。それでもお年寄りは我慢
する。『昔はクーラーも扇風機もなかった。私たちよりも
っと恵まれない人たちがいる。お国が決めたことには従わ
なくてはー』と。「謙譲(けんじょう)」の精神がどうし
ても脈打つ。灯火統制を知る御老人方の胸に去来するもの
は如何なることやらー。          ―T・K―

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